マレーシアは多様性に富んだ国だ。安定的な経済成長を遂げ、インフレ緩和などを受けて低調だった購買力も持ち直しつつある。観光地としても人気が高く、世界中から人々が集まる。市場で成功するための秘訣とは何か。
マレーシアの小売市場について
マレーシアの小売市場は非常に活気がある。GDPの8.5パーセントを占め、今後も成長する見込みだ。消費は経済成長と中流階級層の増加により拡大傾向である。都市化や人口の増加も発展を後押ししている。
近年のデジタル技術の進歩や環境問題意識の向上により、消費者のニーズは急速に変化している。デジタル決済やオンラインショッピング、持続可能な製品なども変化の要因だ。また同国は観光地としても人気で、サービスや免税品への需要も高い。高級ショッピングモールも多くあり、国内外から人々が訪れる。
マレーシア経済の特徴は多様性である。石油やガスといった従来の産業に加え、再生可能エネルギー事業など新たな取り組みにも積極的だ。政府もスマートシティへの投資や政策の実施を進めている。
市場では、国内外問わずライバルが非常に多い。どの企業も差別化や革新に取り組み、競争は熾烈だ。
多様な業態
他の東南アジア諸国と同じく、マレーシア市場にもさまざまな業態がある。特にスーパーマーケットやコンビニエンスストア、デパートなど現代的な業態と、オンラインショッピングの成長が目覚ましい。一方で、大手小売チェーンが未進出の地域では個人商店や生鮮市場などが消費者の生活を支えている。
同国にはショッピングやグルメ、娯楽を融合させた商業施設があり、消費者の憩いの場としての役割も担っている。オンラインショッピングの人気が高まっているが、実店舗も人々にとって欠かせない存在なのだ。
また、市場での成功には組織化が関係しているようだ。組織化していない小売店の多くは大型スーパーなどに取って代わられている。
商機と考慮すべき課題
マレーシアでは都市化が進み、若年層人口や所得も増加傾向だ。現地生産や環境に優しい製品、高級ブランドなどの需要が高まっている。企業はより快適な買い物を消費者に提供するべく、オンラインと実店舗を融合した戦略を打ち出し、AI技術やデータ分析の活用などに取り組む。
一方、考慮すべき課題もある。オムニチャネルなどへの移行は容易ではなく、増税などによるコスト増加も悩みの種だ。物流や配送についても慎重に検討すべきだろう。大手オンラインマーケットプレイスの存在も見過ごせない。
また、生活費の上昇やローン返済の負担による消費者の購買力低下についても注視すべきだ。ただし、インフレの緩和や人手不足による賃上げで、購買力は徐々に持ち直すだろう。2025年には家計支出額がコロナ禍前の水準まで回復すると予測されている。
ニーズの急速な変化と企業の対応
消費者のニーズは時代とともに変化し続けている。ウェルネス志向の高まりにより、オーガニックや持続可能な製品が販売好調だ。若い世代の、価値観を重視する姿勢も市場トレンドに大きく関わっている。
昨今の消費者は、個人の嗜好に合わせたサービスや品質の高い製品を好む傾向にある。また彼らの経済的な不安は強く、予算も買い物の際の基準となっているようだ。
企業は、若い世代向けの体験型サービスの実施や、持続可能な製品の開発に尽力するなど、多様な戦略で対応している。またデータを活用し消費者の好みを反映した商品を提案したり、後払いのオプションや特典を付けたりして売上増を狙う。
消費者の嗜好が成長につながる
2025年、FMCG市場はさらに躍進するだろう。食品・飲料やタバコ、ファッション、デジタル機器など幅広い成長が期待できる。都市化と住宅リフォーム需要により、家具や家庭用品、DIY用品の売上が伸びている。健康意識向上により薬局やデジタルヘルスも人気だ。
2024年に好調だった製品は、どれも消費者の嗜好やトレンドを色濃く反映していた。スマートフォンなどのデジタル機器や、イスラム教徒向けのモデストファッションなど、さまざまな製品が注目を集めた。
最も支出の割合が高い食品・飲料でも、中流階級層の増加や消費者の嗜好やライフスタイルの変化、健康志向などによりチャンスが期待できる。
自然派で健康的な食品などは需要が高い。コンビニでは手頃な価格の製品が好まれ、高所得者の間では輸入食材などが人気だ。オンラインでの販売も引き続き成長が期待できる。
マレーシア市場は活気があり、成長の機会も多い。しかし現地の消費者は経済的な不安やローン返済などを考慮し、価格を重視する傾向がある。彼らの生活や嗜好を深く理解することが、成功のための着実な一歩となるだろう。