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MALAYSIA

(4)日本企業のケーススタディ|2025年4月24日開催ウェビナー

マレーシア市場では多くの日本企業が成功を収め、現地の人々に親しまれる存在となっている。競合の多いこの市場で、彼らはいかにして現在の地位を固めたのか。また彼らはなぜ、数ある国からマレーシアを選んだのか。

ドンドンドンキの事例

ドンドンドンキは、日本のディスカウントショップ、ドン・キホーテと同グループの小売店だ。店内には食料品や化粧品など幅広い商品が所狭しと並べられ、宝探しのような感覚で買い物できる。24時間営業の店舗や日本食のフードコートを併設した店舗も人気だ。

同店は、多くの買い物客で賑わうクアラルンプールに一号店をオープンし、現在は複数の店舗を展開している。ムスリムの消費者向けにハラル認証を取得した商品も取り扱う。

マレーシアには日本人観光客やジャパニーズカルチャーの熱狂的なファンが多い。ドンドンドンキは日本製品の需要を見込み、パン・パシフィック・リテールマネジメントと提携して市場進出を果たした。

アインズ&トルぺの事例

コスメティックストアのアインズ&トルぺも、マレーシアで人気を博している。美容と健康をテーマに、化粧品やスキンケアなど選りすぐりの商品を取り扱う。日本製品のほか海外製品も多く販売し、言語が分からずとも顧客が買い物を楽しめる店舗づくりにも取り組んでいる。

同店が進出を決めた理由は、現地の人々のパーソナルケア製品への関心の高さだ。特にミレニアル世代とZ世代からの安定した需要を見込んだのだ。

アインホールディングスと丸紅は海外共同事業として、クアラルンプールに一号店をオープンした。進出の際には丸紅のノウハウが活用された。今後は実店舗とオンラインをかけ合わせた戦略で、変化し続ける消費者のニーズに応える予定だ。

ダイソーの事例

100円ショップのダイソーも成功を収めている。豊富な種類の商品を安価で提供し、魅力的な新製品を頻繁に投入する戦略で消費者を虜にしている。今後、ダイソーは顧客の分母を増やすためにオンラインプラットフォームの活用を検討している。また100円以外の商品も充実させていく方針だ。

同社は、マレーシアにおける安価な日本製品の需要と戦略的な立地に着目し、進出を決めた。現地に世界最大の配送センターを設立し、効率的な物流を実現している。またこの施設を運用することで、雇用の創出や現地との関係性強化に繋げることが狙いだ。

現地OEMメーカーとの提携

日本企業の大半は、製品の製造を現地OEMメーカーに依頼している。OEMメーカーの強みは現地消費者の好みに合わせてカスタムした製品や、ハラル認証製品の製造だ。マレーシアの人々のリアルな需要に応えるため、現地企業との提携は重要である。

食料品からゲーム機器にいたるまで、幅広い種類の製品が受託製造されている。メリットは、厳しい品質管理とハラル認証を受けた製品を、競争力のある価格で提供できることだ。

高い品質と手頃な価格を両立した日本製品は、消費者にとって非常に魅力的だ。また一部の日本企業は、マレーシア以外のASEAN市場への事業拡大も視野に入れてOEM戦略を採用している。

マレーシア市場のさまざまな魅力

マレーシア市場にはさまざまな魅力がある。中流階級層の増加により、さらなる消費拡大が期待できる。また多民族社会のマレーシアでは、ニッチな市場に活気があり、新たな商機となる可能性があるだろう。インターネットも普及しているため、自社や商品のイメージや理念を顧客にアピールする環境も整っている。

そして同国は世界的に見ても新たにビジネスを始めやすい国だ。人々の教育水準が高く、複数の言語を話せる人材を比較的見つけやすい点も魅力的である。

マレーシア市場にはビジネス成功のための好条件が揃っている。しかし現地で愛される企業となるためには、消費者のニーズを深く理解した事業展開が必須だ。そのため、現地OEMメーカーとの提携は有効な手立ての一つだと言えるだろう。