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(4)江崎グリコの成功哲学|2024年12月17日開催ウェビナー

インドネシアには既に多くの日本企業が進出しており、その半数が規模拡大を計画している。菓子メーカーの江崎グリコも、インドネシアでの事業に注力する企業のひとつだ。主力商品のポッキーは海外でも大ヒット。彼らはいかにして成功を収めたのか。グリコの事例から海外進出の戦略を学ぶ。

インドネシア市場におけるポッキー

1966年に日本で販売開始され、今や世界中で愛されているポッキー。アジアでも人気があり、グリコアジアパシフィックの菓子総売上の76パーセントを占める。タイには製造工場が2つあり、売上の約4割がインドネシア向けだ。

グリコは製品を現地生産すべく、インドネシアに製造拠点や現地法人を設立した。その結果、2018年から2022年にかけ売上を伸ばした。その9割以上がポッキーによるものだ。これはインドネシア市場における大きな成功だと言える。

2022年には世界最大のポッキー製造工場をインドネシアに開設。国内のみならず他の東南アジア諸国や北米にも輸出する。インドネシアの特徴である安価な労働コストと有利な立地を活かし、世界に向けた製造販売の拠点となる予定だ。

グリコのインドネシア市場進出

グリコがインドネシア進出を決めた理由は、高い経済成長や若年層向け市場の大きさに加え、立地の良さやコスト削減によるサプライチェーン最適化も期待できるからだ。

また、インドネシア側も日本を頼りにしている。デジタル技術の活用により、現地の企業に成功したグローバル企業のノウハウを伝えることができるのだ。グリコはインドネシア市場の更なる成長を見込み、引き続き注力している。

売上増の為に様々な戦略も打ち出している。グリコのターゲットは人口の半数を占める約1億人の若年層だ。流通手段をコンビニやスーパーなど従来のものに加えて学校にも拡大するなど、独自の手法で認知度を高めてきた。

具体的には学校での試食イベントや、ラマダン明けのキャンペーンなどを開催した。ターゲットである若者の生活や関心事、またはインドネシアの重要な行事に絡めた賢い手法である。

現地の文化や人々への理解を深めて製品を最適化し、販売に繋げる手段を検討することが大切だ。どのような戦略を採用し、状況の変化に合わせてどのようにアップデートするか。成功した企業から学ぶことは多い。

インドネシア経済の特徴と進出に際して

インドネシアの人口は2億人を突破し、うち6割は中流階級層だ。経済は他の途上国には見られないほど高度に成長しており、ビジネスに最適な環境だ。

食品小売市場ではアジア太平洋地域で最大規模を誇り、環境に配慮した製品などに商機がある。また、品質の高さや手厚い顧客サービスを求めるインドネシアの消費者と日本製品は相性が良い。

そして注目すべき点は、既に進出した日本企業の約半数が規模拡大を計画していることだ。これは多くの企業がインドネシア市場において成功したことを示す。彼らの今後の課題は、安価な労働コストや立地の良さを活かし、国内のみならず海外への輸出にも繋げていくことだ。

小売業者と消費者を結ぶ上で、デジタル技術の活用は有効な手段だ。消費者のニーズを的確に汲み取り、販売につなげる助けになるだろう。

インドネシア政府も、海外企業が市場参入しやすくなるよう取り組んでいる。自国から、環境に優しく、良心的かつ時代の最先端を行く製品や技術が生み出される未来を望んでいるのだ。

グリコの事例から、現地消費者の生活や嗜好に加え、文化や伝統を理解する姿勢が成功の鍵だと分かる。また、日本製品ならではの品質の高さや顧客サービスは大きな強みだ。デジタル技術の進歩や政府の後押しもある。インドネシア市場参入のための好条件は揃ったのではないか。