近年、海外進出を目指す企業が増加している。今回紹介するフィリピンは、数ある進出先候補の中でも人気が高い。バナナで馴染み深い国が世界中の企業から注目を集める理由を紐解く。
海外進出の傾向と進出先としてのフィリピン
海外拠点の有無に関わらず、多くの企業が海外事業展開に前向きだ。その背景には新たな市場開拓への期待や昨今の為替影響などがある。進出先候補としてフィリピンは人気が高い。資源大国であり若い労働者も豊富だからだ。
加えて立地においても東南アジア経済の中心地となりえるほどの好条件だ。一方、貧困や所得格差、海外からの経済的な影響など、考慮すべき課題もある。
フィリピンの概要とGDP推移
フィリピン共和国は台湾を南下した場所に位置する。7000以上の島から成っており、住民の大半はそのうち10ほどの島に暮らす。人口は1億1600万人を超え、世界13位だ。現在も緩やかに増加しており、その約半数は都市部で生活している。最も多い年齢層は18歳から29歳の若者だ。
また公用語は英語である。宗教はカトリックを始めとするキリスト教やイスラム教、仏教が混在する。東洋と西洋が融合したフィリピンの文化は非常に特徴的だ。
GDPについては、規模は小さいながらも安定的な成長を続けている。東南アジア諸国の中ではシンガポールに次いで4位を誇り、十分な国力を持つ国だと言える。
投資先としてのフィリピンと政府の取り組み
フィリピンは投資先として大きな可能性を秘めている。英語を話せる若い労働者や大規模な市場が魅力的だからだ。若年層が多いため消費者需要も期待できる。BPO産業が盛んな点も注目すべき特徴だ。また東南アジア諸国連合に加盟しているため、他のASEAN諸国へも事業展開しやすい。
政府は海外からの投資を促すため法制度を整備している。特に豊かな天然資源を活用した鉱業や農業への投資を積極的に誘致する狙いだ。そのほかインフラ整備や社会的支援にも力を入れる。
またフィリピンの人々は海外就労するケースが多く、増やした所得を母国に送金することが国内消費を押し上げる要因の一つとなっているようだ。
フィリピン小売の最新トレンド
フィリピンではオンライン販売の成長が目覚ましく、今後も取引額はさらに増加する見込みだ。働く女性の増加などにより、調理の手間がかからない食品の需要が高まっている。また中間所得層の購買力向上により、アパレルや化粧品などのブランド品の売れ行きも好調だ。
そして、実店舗とオンラインを連携させたオムニチャネル戦略が盛んである。ShopeeやLazadaは使いやすいアプリの開発に尽力し、合理的でスムーズなショッピングを実現したことで、ユーザーから高い支持を得ている。
フィリピンは英語を話せる若い労働者や今後も成長が期待できる市場など、海外進出先として非常に魅力的だ。また資源大国でもあり、政府も海外からの投資誘致に積極的だ。さまざまな特徴を持つフィリピン市場は、ビジネスの可能性を大いに秘めていると言えるだろう。