アジアの最前線を確かな戦略で切り拓く|ゴーリカマーケティング

PHILIPPINES

(2)フィリピンにおける小売業|2025年3月25日開催ウェビナー

フィリピンの小売市場は進出先候補として世界中から注目を集めている。資源や英語が話せる若い人材が豊富である点など、魅力が多い。そんな市場の、近年の傾向や考慮すべき課題は何なのか。

フィリピン経済における小売業

総GDPの約2割を占めるフィリピンの小売業は今後もさらに成長する見込みだ。販売形態は都市化や中流階級層の増加、消費者の嗜好の変化などにより多様化している。

スーパーマーケットなどは人気で、特に地方や郊外の消費者にとっては主要な買い物手段だ。個人商店や生鮮市場などは、依然としてFMCG市場で過半数のシェアを誇る。またオンライン販売なども急速に普及している。

大きく変化する小売業界

フィリピンの小売業界は大手企業数社が独占している状態だ。彼らの規模拡大と新たな商機の到来により、市場は急成長している。計画性のない小さな店は小売チェーンなどとの競争に敗れ、数を減らしている。この傾向は今後数年続くと予測される。

マーケットプレイスなどは、幅広い商品を安価で提供し売上好調だ。また販売促進のため、SNSやデータが積極的に活用されるようになった。企業はオムニチャネル戦略を採用し、より快適なショッピングを実現して顧客の支持を集めている。

また近年、消費者の環境問題への意識は高まっており、企業はニーズに合わせた製品開発に尽力する。

eコマースがもたらすチャンス

フィリピンのeコマース市場の成長は世界的に見てもトップレベルで、新たな商機をもたらしている。他の東南アジア諸国と比べてインターネット利用率が高いことが背景にあるようだ。スマートフォンの普及と、ネットショッピングに対する消費者の信頼の高まりも影響している。

SNSは、いまやeコマースでの販売拡大に無くてはならない手段だ。しかし最大限に活用するためにはセキュリティ面などの課題に対処する必要がある。

多彩な可能性と考慮すべき課題

フィリピンの小売市場には多彩な可能性がある。人口の約4割を占める上流・中流階級層の所得は増加傾向で、消費拡大が期待できる。eコマースにおいても急速な成長が見込める。流通網の発展などがビジネス成功の鍵となるだろう。ライフスタイルの変化と働く女性の増加により、便利な製品の人気も高い。

一方、考慮すべき課題もある。国内外問わずライバルが多く、競争が激しい。また実店舗とオンラインを一貫したスムーズなショッピングの提供が求められる。加えて国内で多く出回る偽造品への対策も重要だ。

高いインフレ率は今後緩和する見込みだが注視しておくべきだろう。市場で成功するためには、イノベーションや戦略的な計画に加え、変化への適応力が鍵となる。

海外企業の注目を集めるフィリピン

フィリピン市場に魅力を感じる海外企業は多く、次々と進出している。同国の経済構造は国内消費がメインであり、海外からの投資を誘致することでさらなる発展が期待できるだろう。

アメリカのアマゾンを始めとした大手企業に続き、今後も世界中の小売企業の市場参入が予想される。家具やインテリアの需要も高まっており、日本でも有名なニトリは市場で確固たる地位を築いた。

納税義務の格差問題

現在フィリピンでは、実店舗とオンライン販売の間で納税義務に格差がある。オンラインマーケットプレイスは付加価値税が免除されており、実店舗よりも大幅に安く商品を販売できる状況だ。

海外の小売業者にとって極端に有利な状況であり、政府にはオンライン販売への課税を求める声が上がっている。

成長著しいフィリピンの小売市場は大きく変化している。実店舗、オンライン販売ともに成功の可能性はあるが、戦略的な計画に加え納税義務の格差など現地事情についても情報収集が必要だろう。