ベトナム市場では多くの日本企業が成功を収め、事業拡大を検討している。特に大塚製薬と高砂香料は、現地企業と提携し消費者に広く親しまれる製品を展開した。彼らはどのような戦略で、競争の激しい市場での地位を築いたのか。
大塚製薬のベトナム進出
大塚製薬は2012年にベトナム進出した。現地企業のタンヒエップファット(以下「THP」と称する)と提携し、飲料製造や健康食品の輸入販売など幅広い事業を展開している。更なる生産能力強化のため、今年には新工場が稼働開始予定だ。
ベトナム進出の背景と今後の方針
日本で有名なポカリスエットはベトナムでも人気が高く、安定的な供給と鮮度維持のため現地生産されている。この戦略により、コスト削減による価格競争力の強化や利益増も見込める。また雇用創出や経済成長への貢献、アジア全域での知名度向上も期待できる。
彼らは持続可能な慣行として環境に配慮したペットボトル容器の開発にも取り組む。今後は栄養補助食品などの販売に注力し、消費者の健康をサポートする方針だ。東南アジア諸国へも製品を輸出し、ブランドの更なる普及を目指す。
高砂香料工業のベトナム進出
高砂香料工業は1994年にベトナム進出し2024年に現地法人を設立した。大塚製薬と同じくTHPと提携している。THPは緑茶など幅広い種類の飲料を製造する現地企業である。国内外で広く製品を販売し、アジア地域における影響力は絶大だ。
二社は製品開発に関わる専門知識や市場調査結果などを共有し、大ヒット商品であるゼロディグリーグリーンティーの共同開発に成功した。この製品は現在も健康に良い天然由来の飲料としてボトル入り緑茶市場を牽引している。
ベトナム進出の背景とTHPとの提携
高砂香料工業のベトナム進出の背景には、高度な経済成長と、消費者の健康や環境に配慮した製品への関心の高まりがある。また、同国のフレーバー市場に活気があることや良質な原材料を入手しやすいことも決め手となった。さらにTHPとの提携により原材料の安定的な供給を実現した。
二社は現在も共同開発に取り組み、世界に向けて様々な製品を展開している。現地企業との協力は市場で成功を収めるための鍵だと言える。
その他の成功事例
二社以外にも成功事例は多数ある。例えば、花王は先進的な技術を導入した製造拠点を現地に構え、スキンケア用品など幅広い製品を販売している。
元気寿司は今年ベトナムに店舗をオープンさせた。同国の日本食ブーム到来を受け、消費者の舌に合うメニューの開発と提供に尽力している。
ベトナムで15年以上事業を続けるドギーマンは、品質と信頼性の高いペット用品を販売し、市場で不動の地位を築いた。ペット市場は急成長しており、品質と栄養価に優れた輸入製品が人気だ。日本企業にとってチャンスだと言えるだろう。
チャンスをつかむために考慮すべき要素
ベトナム進出には大きな可能性がある。高品質かつ手頃な価格の日本製品が消費者のニーズとマッチしており、高度な経済成長や中流階級層の増加により消費も拡大を続けている。
デジタル技術の活用は、消費者の生活や好みを理解するために有効だ。国の文化や伝統に心を寄せる姿勢は、ヒット製品を生み出すための一助となるだろう。貿易協定や政府による優遇措置の後押しもある。
そして最も注目すべきは、進出した日本企業の半数以上が事業拡大を検討しているという事実だ。
日本企業の成功の陰には、経済成長や日本製品の人気の高さに加え、現地企業との連携があった。また成功事例からは、国の文化や消費者の嗜好に寄り添った製品開発がいかに重要か分かる。彼らの戦略を学び、現実的に市場参入を検討するには、今が良いタイミングではないだろうか。